洗濯には、家庭での洗濯と商業洗濯=クリーニングがあります。
一言でクリーニングと言っても、ランドリークリーニング、ウェットクリーニング、ドライクリーニング、皮革や着物などの特殊洗浄があります。
このうち、ランドリークリーニングとウェットクリーニングは湿式洗浄(水洗い)、ドライクリーニングは乾式洗浄です。
ファッションを彩る大切な衣服を長く着用するために、クリーニングの基礎知識として、クリーニングの種類と洗濯方法を知っておきましょう。
・ランドリークリーニング
ワイシャツ・シーツなど水に耐久性のある生地を温水(50℃~70℃)で洗剤や石鹸、漂白剤などを用いて洗う方法です。
・ウェットクリーニング
本来、水洗いのできないドライクリーニングすべきものを、水で洗う方法です。
ドライクリーニングは、汗などの水溶性の汚れをおとすことができないので、ウェットクリーニングが必要となります。
ウェットクリーニングには技術が必要とされるので、料金は高めになります。
・ドライクリーニング
水で洗うと縮みや、型崩れを起こす生地を洗濯するために、油を溶かす有機溶剤を用いて洗う方法です。
市販されているドライクリーニング衣料用の洗剤は、型崩れなどを起こしにくい、水を使う洗剤なのでドライクリーニングではありません。
ドライクリーニングで用いられる溶剤は、塩素系(パークロロエチレン)、石油系溶剤、フッ素系溶剤です。
このうち、クリーニング店で一番使われているのは、石油系溶剤です。
フッ素系溶剤は、現在はほとんど使われておらず、2020年には全廃されます。
すべての衣料品を家庭で洗濯するのは難しいため、クリーニング店の利用はファッションと深い関わりがあります。
洗濯の基礎知識の1つとして、クリーニングに対しての知識がファッションを楽しむためには必要と言えます。
ファッションを楽しむためには、自分に合ったサイズの衣料品を選ぶことが大切です。
サイズ表示にはJIS規格があり、成人男性用、成人女子用、少年用、少女用、乳幼児、ファンデーション(下着)、靴、帽子などの衣料サイズと表示方法が決められています。
表示方法の基礎知識として下記のことを心がけておきましょう。
衣服の表示の方法は、体系区分表示、単数表示、範囲表示があります。
体系区分表示は、スーツなどフィット性を必要とする衣類が対象となります。
例えば、チェスト(もしくはバスト)・ウエスト・身長の表示です。
単数表示は、上半身だけ、下半身だけの衣類など、フィット性が要求されない衣類が対象です。
胸囲(チェスト、もしくはバスト)と身長、もしくはウエストでの表示となります。
範囲表示は、身長何cmから何cmまでという範囲表示で、フィット性を必要としない衣類が対象です。
サイズ表示でチェスト(もしくはバスト)・ウエスト・身長のサイズの下に、9ARなどの表示を見たことがあると思います。
成人女性の衣類表示の場合、9ARの「9」は、バストの記号で、Aは体形、Rは身長です。
9ARは、バスト83cm、標準体型、身長154cmから162cmの人が対象の衣類ということになります。
成人男性の92A4のサイズだと、チェスト92cm、胸囲と胴囲の差が12cm、身長165cmとなります。
成人男性の場合、チェストのサイズはそのまま表示されます。
このサイズは、衣類のサイズではなく、着用する人の体のサイズの表示です。
このように、既成衣料品には細かな区分表示が決められています。
JIS規格は、メーカーによって表示が異なることを防ぐための統一表示です。
この表示を目安にして、上手に衣料品を選択し、ファッションを楽しむことができるのです。
ぜひ、サイズ表示の基礎知識を身につけて、サイズが合わない服を買うことのない、上手な買い物をしてください。
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衣服には、家庭用品品質表示法によって下記の表示事項が決められています。
表示をよく見て、衣服を選びあなたに合ったファッションを楽しみましょう。
また、表示を良く見て洗濯を行うことで衣服を長持ちさせることができます。
ファッションを楽しむためにも、表示の基礎知識を知ることが大切です。
・繊維の組成
組成繊維の名称・混用率を表示します。
例えば、「綿100%」「表地 綿100% レース部分 レーヨン100%」などの表示です。
・家庭洗濯などの取り扱い方法
取り扱い方法が絵表示によって示されています。
洗濯機での洗濯が可能か、手洗いのみ可能なのか、水洗いはできない、洗濯の液温の上限は何度か、などの洗濯方法の表示や、塩素漂白の可否、絞り方、干し方、アイロンのかけ方、ドライクリーニングの可否の表示があります。
ただし、水洗いが当たり前となっている靴下などには表示はついていません。
・はっ水性(水をはじきやすい性質)
コートなど、はっ水性が必要とされるものにだけ表示されています。
・表示責任者
表示責任者の氏名もしくは名称と、住所もしくは電話番号が表示されています。
繊維の組成と表示責任者に関する表示は、必ずなんらかの方法で付けなければなりません。
また、品質表示は取り付けラベルでも、下げ札でも、その形態は決められていません。
家庭洗濯などの取扱い方法の表示はわかりやすいように縫い付けられているのが一般的です。
基礎知識を知って、必ず表示を確かめて、大切な衣服を長く大切に着てください。
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衣服を大切に扱っていても、うっかりシミをつけてしまう場面もあります。
シミをつけたら、できるだけ早く対処することで、シミをおとすことができます。
シミをできるだけ早く、こすらずにたたき、シミの性質に合った方法を取ることで大切な衣服を守りましょう。
・果汁
水を含ませた布でシミになった部分をたたきます。
色が残る場合には漂白剤を使用してください。
・醤油、ソース
中性洗剤を使い、たたいて汚れを落とします。
色が残る場合には漂白剤を使用してください。
・血液
温度が高いと血液が固まってしまうので、お湯を使ってはいけません。
シミの部分を大根の切り口でたたきます。
もしくは、大根おろしをシミに乗せて麺棒などでたたいてください。
・カレー
中性洗剤を直接かけて、もしくは中性洗剤を含ませた染み抜き棒でたたく、固形石鹸をそのまま水に濡らさずにこすりつける方法があります。
洗剤や石鹸を水で洗い流した後、残った汚れに漂白剤を使用します。
・チョコレート
ベンジンを用います。
ベンジンを含ませたきれいな布で、シミの上から軽くたたきます。
メイク落としとして使われるクレンジングオイルに中性洗剤を混ぜたものを使っておとすこともできます。
・ボールペン
エタノールや住まいの洗剤を使い、裏からたたきます。
色が残る場合は、オキシドールを使って漂白します。
・朱肉
ベンジンやエタノールを使います。
マニキュアをおとす除光液や、クレンジングオイルでもシミをおとすことができます。
色が残ったら、エタノールやアルコールで色をふき取ります。
・墨
しみの上から水を流して墨をもみ出します。
すぐにシミ抜きを行った場合、これだけでおちることもあります。
次に、ご飯粒と洗濯洗剤を混ぜて練ったものをシミにつけて、爪で擦り取ります。
それでも落ちない場合には、漂白剤を使ってください。
このような基礎知識を知っていれば、大切な衣服を傷つけず、長くファッションを楽しむことができます。
ファッションを楽しむためには、少し基礎知識を身につけるだけで大きな違いがでてくるのです。
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衣替えの季節には、衣服を保管する際、虫食いを防止するために防虫剤を使用します。
しかし、防虫剤の使用で必ず虫食いが防止できるかと言うと、そうではありません。
2種類を一緒の場所に入れると薬剤が溶けてシミができる場合もあります。
また、気化したガスで効果を発揮するので、密閉しておかなければその効果は発揮されません。
次の季節に、ファッションを楽しむことができるよう、正しい防虫剤の基礎知識を知っておきましょう。
市販の防虫剤には、4つの種類があります。
・しょうのう
古くから使用されている防虫剤で、主に和服用として使われています。
独特の匂いがあります。
すべての衣類に使用ができますが、金糸・銀糸には直接触れないように使用してください。
パラジクロルベンゼンと一緒に使用してはいけません。
・パラジクロルベンゼン
4種類の防虫剤の中で一番早く効き目が広がりますが、効き目がなくなるのも早い防虫剤です。
独特の匂いがあります。
しょうのう、ナフタリンと同じ場所での使用はできません。
塩化ビニール製品や、ビーズやスパンコール、帯止めなどのスチロール製品への使用もできません。
・ナフタリン
効き目がゆっくりと広がるので、長期間の保管に向いている防虫剤です。
雛人形や使用頻度の少ないフォーマルウエアなどへの保管に向いています。
独特の匂いがあります。
パラジクロルベンゼン、しょうのうと同じ場所では使わないでください。
スチロール製品への使用もできません。
・ピレスロイド
独特の匂いがない防虫剤で、他の種類の防虫剤と一緒に使えるという特徴があります。
防虫剤のガスは重いので、クローゼットでは上部に、たんすなどでは、衣類の上に置きます。
また、防虫剤の効果が半減するので、衣類の詰め込みすぎはやめましょう。
そして、必ず使用量を守ってください。
基礎知識を得て正しい保管で衣類を守り、ファッションを長く楽しんでください。
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おしゃれは足元から、と言います。
足元のファッションを演出する靴は、いつでもきれいにしておくために、手入れや正しい保管はかかせません。
大切な靴を長持ちさせるのは、どのようなことに気をつける必要があるのか、その基礎知識を知っておきましょう。
・サイズに合った靴を選びましょう。
サイズの合わない靴は、型崩れを起こすだけでなく、余計な汗をかくため靴を傷める原因にもなります。
必ず、自分の足にフィットした、つま先にゆとりのある靴を選びましょう。
紐靴の場合には、紐をしっかりと締め、靴を安定させましょう。
・靴にもお休みを。
気に入った靴を何日も続けて履かず、必ず1日靴を休ませましょう。
履いた後、直射日光の当たらない風の通る場所に1日置いておきましょう。
・湿気に気をつける。
雨の日などに履いた場合は、新聞紙などを入れて水分を取り、水分を取ったらすぐに濡れた新聞紙は取り出してください。
その後、乾燥剤を入れて、陰干ししてください。
・薄紙で靴を包まない。
靴を購入したときに靴を包んでいる薄紙で、手入れした靴を包むのはやめましょう。
薄紙で包むことで湿気によってカビが発生することがあります。
また、シューキーパーも長期間保管で使うと革が伸び、湿気がこもる場合があります。
・靴のケアをしましょう。
3足ローテーションで靴を履く場合、2週間に1度を目安として、きちんと汚れをおとし、クリームなどで靴を保護しておきましょう。
・購入してすぐの手入れも必要です。
靴を購入したら、すぐにクリームを塗り、防水スプレーをかけることで、傷や汚れを防止できます。
基礎知識を身につけて、靴とのよい関係を作り、ファッションをぜひ楽しんでください。
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衣料品の洗濯に用いるのは、洗剤の他に漂白剤もあります。
漂白剤は、シミなどをおとす便利なものですが、使用できる繊維などが異なるので、慎重に扱う必要があります。
ファッションを楽しむためにも漂白剤の基礎知識を身につけておきましょう。
漂白剤には、酸化型と還元型があります。
さらに酸化型は塩素系と酸素系に分かれます。
塩素系の漂白剤は、ハイターがよく知られています。
液状のアルカリ性で、漂白力が強いのが特徴で、白物専用の漂白剤です。
綿・麻・レーヨン・ポリエステルの繊維に使用できますが、色物や柄物、羊毛、ナイロン・ポリウレタン・アセテートなどには使用できません。
また、塩素系漂白剤は「まぜるな危険」の表示があるように、酸性の洗剤と混ぜると塩素ガスの発生の危険性があるので取り扱いには注意が必要です。
酸素系の漂白剤には、液状の弱酸性のものと、粉末の弱アルカリ性のものがあります。
液状の弱酸性の漂白剤には、液体ワイドハイターなどがあります。
すべての繊維に使え、繊維に対する影響が少ないのが特徴で、洗剤と一緒に用います。
ただし、金属染料を含むものには使用できません。
粉末の弱アルカリ性の漂白剤には、粉末ワイドハイターなどが販売されています。
綿・麻・レーヨン・アセテート・合成繊維に使用ができますが、毛・絹には使用できません。
色柄物に使用できますが、たんぱく質繊維、金属染料を含むものには使用できません。
付け置き洗いに向いており、洗剤は必要ありません。
還元型には、粉末の弱アルカリ性のものと、粉末の中性のものがあります。
どちらもすべての繊維で使用できます。
還元型漂白剤としてよく知られているのは、ハイドロハイターです。
ただし、色柄物には使用できず、白物専用です。
ワイシャツなどを漂白しようとして塩素系漂白剤で逆に樹脂加工されている襟元が黄変することがありますが、その黄変を回復することができます。
その他、鉄サビなどの汚れに使えます。
漂白剤の基礎知識を頭に入れて、上手な漂白を行い、ファッションを楽しんでください。
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ファッションに欠かせない衣料品を長持ちさせるためには、洗濯や管理がかかせません。
汚れをそのままにしておくと衣服はすぐに傷んでしまいます。
また、カビや虫食いの原因となります。
洗濯に関する基礎知識を身に着けて、美しい清潔な衣料品で素敵なファッションを楽しみましょう。
汚れには、汁や果汁などの水溶性の汚れ、皮脂や油などの油溶性の汚れ、泥などの固形の汚れがあります。
水溶性の汚れならば、水でほとんど落とすことができます。
水で落ちない油などの汚れは洗剤の力を使うことになります。
洗剤の主な成分は界面活性剤とビルダーです。
界面活性剤によって汚れを繊維から引き離し、ビルダーはその界面活性剤の役割を助けるものです。
衣料用の市販洗剤には石鹸、複合石鹸、合成洗剤があります。
石鹸・複合石鹸は弱アルカリ性、合成洗剤には弱アルカリ性と中性があります。
石鹸は天然油脂をカセイソーダで反応させて作ったもので、界面活性剤は脂肪酸ナトリウム100%のものです。
複合石鹸は、石鹸カスなどの問題を解消するために、界面活性剤に石鹸以外のものを配合しています。
合成洗剤は、主に石油から作られています。
一般的にアルカリ性の洗剤の方が、汚れ落ちがよく、アルカリ性の洗剤が広く販売されています。
ドラム式の洗濯機の普及により、液体洗剤が多く販売されています。
繊維の種類によって、アルカリ洗剤・中性洗剤を使い分けてください。
綿・麻・再生繊維・合成繊維の生地は弱アルカリ性の洗剤で洗います。
毛や絹、羽毛、アセテート、トリアセテートなどデリケートな繊維には中性洗剤が洗濯に適しています。
中性洗剤はおしゃれ着洗い洗剤としても販売されています。
このように衣料品にあった洗剤の基礎知識を知ることで、ファッションをより楽しむことができるのです。
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靴、衣服、バッグなどのファッションに欠かせない皮革製品の美しさを長く保つためには、手入れや保管方法の基礎知識が必要です。
基礎知識を知らないことで、間違った手入れ方法によって皮を痛めてしまう場合もあります。
皮革製品の日常の手入れで必要なことはまず汚れをおとすことです。
一般的に乾いた柔らかい布で汚れを落とし、それでも落ちない場合、クリーナーを使います。
手入れ剤を利用する時には、かならず目立たない場所で使用してテストを行ってください。
雨などでぬれた場合も、ドライヤーなど高温で乾燥させると皮を劣化させてしまいます。
革靴の場合は、タオルなどで水分を充分吸い取り、風通しの良い場所で乾かすよう、心がけてください。
手入れ剤には下記のようなものがあります。
・クリーナー
皮革製品の汚れをおとすために使います。
チューブ入り、瓶入り、消しゴムタイプなど様々な種類があります。
汚れを落とす他に、防水やつや出しなどの効果があるクリーナーも販売されています。
エナメル専用、アニリン専用など、皮の種類によっては染みになる場合もあるので、皮革にあったものを使用してください。
・クリーム
皮革製品のつやや色の保持、傷や汚れの防止、防水などのために使用します。
・保革剤
皮革に柔軟性を与え、割れにくくします。
・防水剤
エアゾールタイプが主流です。
皮の表面の仕上げ状態に合わせた種類の防水剤を用います。
スエードなどの起毛の皮革は、こまめにブラッシングし、汚れは消しゴムタイプのクリーナーを使っておとします。
スエードは耐水性が少ないので、防水剤を利用しておくと良いでしょう。
保管の際には汚れを充分におとしておきましょう。
汚れが残っていると、その汚れを養分としてカビが発生する場合があります。
防カビ効果のあるクリーナーやクリームも活用しましょう。
そして、時々外に出し、風を通すことも必要です。
皮革製品の手入れをしっかりと行って、ファッションをぜひ楽しんでください。
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ファッションを楽しむためのアイテムの1つに皮革製品があります。
ここでは、皮革の種類などの基礎知識を説明しましょう。
・天然皮革
天然皮革の中で最も多いのは牛皮です。
ハンドバッグや衣料、手袋、靴など様々な用途で使われています。
産地や性別・年齢などで牛皮は様々な種類に分けられています。
この他、皮革には、馬・羊・カンガルー・ワニ・鹿・ヘビ・ダチョウ(オーストリッチ)など様々な皮革があります。
同じ原皮であっても、なめし方法で製品の特徴は変わってきます。
なめしによって、皮のたんぱく質や脂肪などを除去し、柔軟性と耐久性を与えます。
また、加工によってもスエードや光沢のある樹脂を塗ったエナメルなど様々な種類にわけることができます。
天然皮革は、吸湿性・透湿性・通気性・保温性が良い反面、吸水によって変形を起こしやすく、カビの害を受けやすいのが欠点です。
・合成皮革
生地表面にポリウレタン樹脂をコーティングしたもので、通気性に欠ける反面、加工が簡単で価格が安いのが特徴です。
・人工皮革
超極細繊維の不織布に多孔性のポリウレタンを浸透させて表面加工を施し、起毛したものです。
天然皮革に比べて強度が低く、吸水性に劣りますが、外観や風合いが天然皮革に似ています。
合成皮革、人工皮革ともにポリウレタン樹脂が5年くらいで劣化してしまいます。
合成皮革・人工皮革は長時間日光に当てないなどの配慮が必要です。
保管に気をつけてもポリウレタンは劣化してしまうので、購入した際はしまいこまずにどんどん着用しましょう。
皮革の特徴などの基礎知識を身に着けて、ファッションにぜひ活かしてください。